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Eye of the tiger

ここ数回トレーニングに関する話題を書いていて、ふと最高の教材を思い出しました。

ロッキー4です!
いやいや、いたって真剣ですよ。

youtubeにそのシーンがありましたので、まずはご覧ください。



薪を割ったり雪道を走ったり、まさに不安定な要素の中で自分を安定させないと結果が伴わない動きです。

ところで、「薪割り」をやったことがありますか?
はじめての方は斧が薪に当たらないと思います。見た目は簡単そうですが、実際は難しいですよ。
(私の実家は小学校3~4年生ぐらいまで薪風呂でした)

しかも薪に節があるとまっすぐ割れない(しかも節の部分は堅い)ので、
割れやすい(割りやすい)方向を予測しないといけません。

「状況を察知して、最良の結果になるように調整する」
まさにコーディネーション・トレーニングのひとつですね。


うーん、どちらかと言えば私の職種はドラゴ陣営側のハズなんですが・・・
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不安定だけど安定

前回は小難しい話をしましたが、身体の動きを感じ取っているのも、動かしているのも脳だと言うことはご理解いただけたでしょうか?

そんなわけで(どんなわけで?)、私はオープン・キネティック・チェーンの、しかも感覚を研ぎ澄ますことが必要になるトレーニングを日常の練習に取り入れることをお勧めしています。
自転車でもアーチェリーでも、種目は問いません。どの種目にも共通した基礎体力の一つだからです。

スラックラインも一見するとただのバランストレーニングしか見えませんが、そうではありません。
不安定な状況下でいかに自分の身体を安定したものにするか・・・自分の身体がどう動いているかをうまく感じ取れていないと、結果は伴いません。
しかも今置かれている状況の次(できればその次も)を考えて行動しないと手詰まりになってしまいます。

slackline-ma.jpg
特訓中の姪(中1)。こう見えて一応耐えてます。腹筋が割れているので、女の子なのに腹を見せたがります(笑)

他にはバランスボールなどもトレーニングによく使います。
日本語ではバランスボールですが、英語ではstability ballと呼んだりすることもあります。
まさに身体をstabilize(=安定化)させるためのボール、という感じで、こちらの呼称の方が的確な気がします。

それ以外にも、とにかく自分を「安定しない状況」にするもの(こと)がです。
身近なものでいえば、缶コーヒーの空き缶でも十分です。空き缶を立て、その上で片足スクワットをやってみてください。足裏の感覚と体幹の筋肉をちゃんと使わないと、座って立つという極めてシンプルな動作がスムーズにできません。
#まずは片足スクワットができないとダメですが(笑)

いずれにしても基礎体力の中でもとりわけ基礎となる、体幹部をしっかりと鍛えることが重要です。

頭を使え

さて、西井的トレーニング特論はまだ続きます。

前回お話しした「五感」ですが、実は「脳」がキーワードです。

五感は英語にするとセンス(sense, 正確にはfive senses)です。第六感、すなわちsixth senseは映画のタイトルにもなったのでイメージしやすいかもしれませんね。

そのセンスですが、一般的に「あいつは○○のセンスがいい」なんて言葉を耳にしますが、そもそも「センス」ってなんでしょう?

あらためて"sense"で英和辞書を引くと・・・

○〔動物の機能としての〕感覚(器官)、五感(の一つ)
○〔感覚器官から受け取る〕感覚、知覚、感触、感じ
○〔ある分野の〕鑑識力、認識力、センス

などとあります。

要するに、「感じ取って認識する能力」と言えます。
実はこの「感じ取る」と「認識する」を分けて考える必要があります。なぜなら、脳が司っているのは「感覚」ではなく「知覚」だからです。

「感覚」と「知覚」の違いを、視覚を例に説明します。

今あなたの目の前に赤い花があったとします。
視覚の抹消である目は、実は光の波長を受け取っているにすぎません。言うなればWEBカメラみたいなものです。それだけでは何も機能しません。
「今、目(WEBカメラ)から届いた情報は色が・・・、形が・・・」
このような情報が脳(パソコン)に届き、脳のデータベースに照らし合わせ、それが完了すると初めて「赤い花」として「認識」するわけです。
つまり、目は感覚、脳が知覚です。

基本的にはどの感覚器官でも同じ課程で作業が行われています。
たとえば平衡感覚も、三半規管で感じた重力・加速度を脳で認識しているわけです。


話を元に戻しましょう。
たとえば、身体で何かの動きをしたとします。
その動きを自分自身のあらゆる感覚器で感じ取り、それが思い描いた動き通りなのか否かを認識できる・・・
それが精度良くできる人は「センスが良い」ということになります。

逆に、センスが悪いというのは
「思い描いた動きをしていないにもかかわらず、それを知覚・認識できていない」
ということでしょう。
だって全くなってない動きなのに、「お、完璧な動きだ」と思ってるわけですから。
文字通りセンスが無い(笑)

トレーニングでは筋力や心肺機能だけでなく、脳も鍛えなくてはなりません。
なぜなら、すべての運動命令を出しているのは脳だからです。
何気なく操作ししているそのマウスも、勝手に動いているわけではありません。
すべてあなたの脳がそう動かしているのです。

slackline-sa2.jpg
特訓中の姪(小5)。一生懸命感じ取ろうとしています。なにせ手がグーとパーですから(笑)

神の領域

6/20の朝日新聞にこんな記事が。

なんでもかんでも知りたがるのは、人間の業かもしれません。

「吾唯足知」

そうだ、京都、行こう。

コーディネートは服だけじゃない

1回目2回目の続きです。


実はUCIで研修を受けたときにも、同じような話が出ました。

アレックス・ツーレという選手をご存じでしょうか?
世界選手権のTTでも優勝していますし、ブエルタでも2回優勝しているほどの強い選手でした。
そのアレックス、ツール・ド・フランスで常に表彰台に絡むものの、優勝はできませんでした。
彼は練習で自転車ばかり乗っていたそうで、「彼に足りなかったのは【コーディネーション】だよ」とUCIのコーチは言っていました。

コーディネーション(coordination)とは、
1.状況を目や耳など五感で察知し
2.それを頭で判断し
3.具体的に身体を動かす
といった一連の過程をスムースに行う能力のことを言います。

思い出してください、こういうものって遊びの中に多いと思いませんか?
鬼ごっこ、缶蹴り、木登り・・・
すべて五感をフル動員だったはずです。

しかもこのような遊び、すべてフィードフォワード制御が含まれます。
フィードフォワード制御とは「このあとこうなるだろうから、こうしておこう」というもので、神経系の機能としては高次の制御機能です。
「だるまさんがころんだ」なんて、その極みみたいなものですよね。「急に振り向くだろうから、いつでも止まれるように進もう」としているはず。

ちなみに、フィードフォワードの逆はフィードバックです。
「だるまさんがころんだ」で例えるなら、「鬼が振り向いたから止まった」です。
たぶんこの場合はアウト!ですよね。


これはUCIで言われた、"anticipate"(=予想する、予期する)にぴったりとマッチします。
(当ブログ、World Cycling Centerのタグがついた過去ログをご参考ください。)

つづく

ワールドカップ

いよいよサッカーワールドカップが始まりました。

種目は違いますが、日本代表チームに携わるものとして志を同じくして応援しています!
って書こうとしたら、横から
「あなたと同じにされるなんて、岡田監督以下サッカー選手に失礼だわ!」
と突っ込まれました(苦笑)

そのワールドカップに参加しているのは日本チームだけではありません。
実はこんなアイテムもワールドカップに参加しています。

whistle03.jpg
野田鶴声社のホイッスルです。

このホイッスル、ずいぶん前にコミッセール有志で作りました。
そんなわけで、表面にはJCFロゴと名前が刻印された特別仕様です。
whistle01.jpg

5万人以上のスタジアムでも響き渡るように、とても鋭い音が鳴ります。
以前体育の授業(体育館)で使ったら、あまりの音量に生徒が耳をふさいだことも。

こんな小さなホイッスルにそれだけのパワーを込められるなんて、やっぱり日本の技術はスゴイ。
舶来品より日本製品ですべての装備を固めて世界に出て行きたい。

オリンピック用ランキング

UCIのWEBページにオリンピック用の国別ランキングが表示されるようになりました。

results&ranking

mountainbike

rankings

UCI Olympic Qualification Ranking

で確認できます。

日本は現在
男子 35位
女子 29位
です。

さぁ、ここからがスタートです!

補強は何を?

前回の続きです。

クローズド・キネティック・チェーンとオープン・キネティック・チェーンの違いを理解していただいたところで、一般的な自転車選手の補助トレーニングは?と考えてみると・・・

多くの方が「ウェイト・トレーニング」と答えると思います。
このウェイト・トレーニング、軌道が一定のマシン式は言うまでもなく、フリーウェイトも決まった動きしかしないのでクローズドと言えます。
(厳密に言えば最遠位部=例えば足の動きが固定されているスクワットはクローズド、ある程度フリーなレッグエクステンションはオープンとも言われていますが、私の感覚では「動きが規定されていて、完全なオープンではない」という時点でどちらもクローズドだと思います。)

つまり、自転車もウェイトも、どちらもクローズドなので同じようなことばかりをやっていることになります。
ですから、ウェイトだけの補強では不十分なのです。

つづく

自転車だけでダイジョウブ?

さて、前回の話題に関連して、たまには本業っぽい(?)話を。

自転車運動はいわゆるクローズド・キネティック・チェーン(closed kinetic chain:以下クローズド)というものに分類されます。

最新スポーツ科学事典(平凡社,日本体育学会監修)によると、

クローズド・キネティック・チェーンはオープン・キネティック・チェーン(open kinetic chain:以下オープン)と対になる語であり、もともとは運動学(kinesiology)の領域で1955年にスタインドラー(A.STeindler)によって定義された語である。厳密な定義は現在でも確立されていないが、一般的には、「遠位部の関節の自由な動きが外力により制限されているような、荷重位での多関節運動」として認知されている・・・以下省略

と記されています。

つまり、自転車運動は遠位部(体の中心から遠い部分=この場合は足)が円軌道上に固定されています。
それによって、脚は決まった動きしかできません(ある程度は動きの自由度がありますが)。
逆のオープンはサッカーなどをイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか。

この、クローズドとオープンの両方をトレーニングに取り入れることが重要だと私は考えています。


うーん、書き始めたら長くなりそうな予感がしてきました。
連載にします(笑)

動的平衡

最近のトレーニング・マイブーム。

slackline00.jpg
スラックライン(slackline)という代物です。一言で言うと「綱渡り」です。それ以上でもそれ以下でもありません(笑)。

5cm幅のベルトにラチェットがついていて、それでテンションをかけます。イメージ的にはトラックの荷物を固定するラッシングベルトと同じです。
ただし素材が異なるようです。ラッシングベルトは伸びない素材ですが、こちらはある程度ですが伸び縮みします。
それによって「たるみ」が出るので、slack(=たるみ) lineというようです。

この綱渡り、実はか~な~り~良い腹斜筋トレーニングになります。
残念ながら乗れない人は、脚のトレーニングになっちゃいますが。
どちらにしても良いトレーニングになるのは間違いありません。

slackline03.jpg
なかなか安定して乗ることができません。1歩進んだら、もう落ちています。

slackline02.jpg


























必死にこらえています。このとき、腹斜筋が全開バリバリに働いています。
おそらくインナーマッスルもフル動員でしょう。
だって必死ですから(笑)。


こういうやり方もあります。
slackline01.jpg
脚前挙ってやつですね。バランスが悪いと後ろに「クルンっ」となるので、安全のためにヘルメットを被っています(笑)。
このパターンではバランスもさることながら、体幹の弱さを露呈しています。なぜなら・・・

本当はこうならないといけないんです・・・↓
slackline04.jpg
脚が水平まで上がり、ピシッと止まっています。美しい。

自転車だけ乗っていれば強くなれるわけじゃありません。ウェイトトレーニングで補強しても不十分です。
重要なのは、
不安定な環境・状況の中で、いかに自分を安定させることができるか
です。
ペダリング運動やウェイトトレーニングなど、決まった動きだけじゃだめなんです。


いわゆる「遊び」の中に、もっとトレーニングとしての価値を見出す必要があると思う今日この頃です。

備忘録

先週末、とある秘密練習場へ・・・

そこでの気づき。

○地平線ならぬ、タイヤ平線を見ろ!
○Fハブをヒザで刺す。
○乗ってるそのままの姿勢を崩さずに上げる。
○かかとを下げろ。
○腰は下げる、でも引かない。
○高低差があるときこそ、Fハブをのぞき込め。
○2X4は遊べる。

久しぶりに練習したおかげで、本日は上半身の筋肉がどえりゃ~ことになってまっとるがや。
も~、わやだて。

指導教官にも言われました。ちょっとの予習とたくさんの復習。
さ、練習しなきゃ。

富士見日帰りはツライ

先週末は富士見にてMTBのJシリーズがありました。

最近はおかげさまで忙しいので、日帰りツアーになってしまいました。
で、DHのレース観戦とXC勢の様子見。

2010fujimi-mio.jpg
女子優勝は末政選手。
本邦初公開の勝負服!これぞ日本チャンピオンって感じですね~。

2010fujimi-DHeliteM.jpg
男子優勝は井手川選手。上位5名が1.2秒以内にひしめく、大変見応えのあるレースでした。

試走中のyoung guns.
2010fujimi-boys01.jpg
ランキング上位の中学生(という表現も変ですが・・・)達が仲良く試走しています。

2010fujimi-boys02.jpg
試走もメチャ楽しそうです。

そのyoung gunsがエキスパートクラス3連勝中!
今年はエリートに特別昇格する選手が出ないという年になるのか!?

ちなみに今回の富士見大会、1位~4位まで中高生が独占です。
しかも優勝者の平均時速は13.8km/hです。距離が違うので単純比較はできませんが、エリート7位(13.5km/h)より速いです。
今年の男子エキスパートは要チェック!
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プロフィール

Nishii Takumi

Author:Nishii Takumi
○株式会社 地域資源バンクNIU 取締役
○サイクリストの秘密ラボ・flasco主宰
○博士(体育学)
○中京大学人工知能高等研究所 研究員
○2008北京オリンピックMTB日本代表チーム 監督
○2010ユースオリンピック(シンガポール)・2014ユースオリンピック(南京) 自転車日本代表チーム 総監督

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