予習のためのアーカイブ

近頃ライトねたばかりでサイエンスな感じが乏しくなってきたので、今回は特別講義として本館の記事をこちらにアーカイブしておきます。

すでに内容をご存じの方は、読み飛ばしてください。
自動車 vs 自転車 CO2排出量の比較

私が自転車通勤をしているのはすでにご存じのことかと思います。
主な目的は2つ。
1つは自分の健康を維持するためです。
もう1つは自転車を移動手段として利用することが、エコロジーな活動だと信じているからです。

ところが「自転車はどれぐらいエコロジーなの?」と聞かれると、明確に答えることができませんでした。そこで自転車と自動車はニ酸化炭素の排出量にどれほどの差があるかを試算してみることにしました。ただしあくまでも私個人をベースにした計算ですので、参考程度の話題とお考えください。

■自動車(西井家所有車:1.6L)の場合
試算の対象は一般的なガソリン車としました。ガソリンは主成分がオクタンで、化学記号で表すと"C8H18"です。比重は0.75ですから、ガソリン1Lの重さは0.75kgです。もう少し難しい話をすると、1molのオクタンに含まれる炭素の割合は96/114で0.84ですから、1Lのガソリンには約0.63kgの炭素が含まれている計算になります。
したがって、ガソリンが完全燃焼してCがすべてCO2になったとすると、ガソリン1Lあたり2.31kgのCO2が排出されることになります。

私の通勤距離は往復で40kmです。所有している車の燃費が約10km/Lなので、1往復あたり2.31 x 4 = 9.24kgのCO2を排出している計算になりました。

これにプラスして運転者の呼吸によるCO2排出もあります。
こちらはほぼ座位安静状態と考えると、往復で約0.05kgという計算になりました。ですから、自動車通勤をした場合のCO2排出量は全部で9.29kgということになります。

■自転車(私:ロードレーサー)の場合
一方で自転車の場合はどうでしょうか?
私の生理学的データを使って試算してみました。

専用の測定機器を使えば通勤(運動)中の二酸化炭素排出量を直接測定することはできますが、今回は実験室にて漸増負荷運動をした際の呼気ガスデータをもとに、心拍数からCO2の排出量を推定しました。

POLARの心拍計で自転車通勤中の心拍数を記録した結果、グラフのような変化を示しました。

HR-ride-3.gif


この心拍データを心拍数-二酸化炭素排出量の関係式に代入した結果、往路のCO2排出量は113.1(L)、復路のCO2排出量は77.8(L)となり、私が往復の通勤で排出するCO2量は190.9(L)という結果になりました。

このままでは単位が異なり単純比較ができないので、気体の密度を考慮に入れて単位を合わせます。つまり、CO2の密度(g/L)は1.9769なので190.9 x 1.9769 = 377.4 (g)となります。

したがって私が自転車通勤した場合のCO2排出量は、約0.38kgという計算になりました。

以上の計算から、自転車通勤した際のCO2排出量は自動車通勤と比較して約1/25で済むことが分かりました。

私の場合は名古屋市内から豊田市郊外へと向かういわば「逆方向通勤」なので、自動車の燃費は良い方です。
逆に自転車通勤するときはそれなりに良いペースで走っているので、心拍数が上がる(=CO2排出量が増える)傾向にあります。

もしこれが市街地(特に都市部)だけのケースだったら、もっと差が大きくなると予想されます。つまり、信号も多く交通量も増加するため自動車の燃費は下がってCO2排出量が増えると考えられます。
同じように自転車のスピードも下がりますが、こちらは運動強度が下がるのでCO2排出量が減少するでしょう。もちろんその分移動に要する時間が増えることになりますが、市街地の移動は自転車の方が速いことはメッセンジャーという職業があることからも裏付けられていると言えます。

しかも自転車は乗り続けることによって身体持久力が向上し、作業効率がどんどん良くなりますから・・・差がもっと大きくなる可能性があります。

「エネルギー」は有効に使わないといけませんからね。
(この前振りがしたいために長文になってしまいました・・・お付合いいただいた方、お疲れ様でした。)
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プロフィール

Nishii Takumi

Author:Nishii Takumi
●株式会社 地域資源バンクNIU 取締役兼CTO
●中京大学人工知能高等研究所 研究員
●博士(体育学)
●2008北京オリンピックMTB日本代表チーム 監督
●2010ユースオリンピック(シンガポール)・2014ユースオリンピック(南京) 自転車日本代表チーム 総監督

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