マキュアンの強さを考える

一昨日から始まったツールドフランス。
今年もまた寝不足の3週間の始まりです。

さて昨日のゴールスプリント、凄かったですね~
優勝したのはマキュアンですが、どこから現れたの?という表現がぴったりの勝ち方でした。

で、混戦状態のスプリントをマキュアンが制すると、
「マキュアンはBMXをやっていたので、マシンコントロールが上手いからです。」
の様な表現で解説されていますが、私はそれだけとは思いません。

BMXのレースを見たことがある人にはイメージしやすいと思いますが、BMXは400mぐらいのコースを8人前後で一斉に走る競技です。
コースには凸凸のようなジャンプや、バンクのついたコーナーがあり、3次元的な乗り方が要求されます。
また、コースは固く締まっているとはいえオフロードですので、滑りやすい路面でのマシンコントロール術も必要です。

一般的には上記のイメージで解説されているのかもしれませんが、マキュアンの強さはそれだけではないように私は感じるのです。

先に書きましたが、BMXは8人ぐらいが一斉に走ります。良いスタートを切った選手は一番良いラインを走ることが出来ますが、後続の選手も前走者を抜くタイミングを狙っています。
もう少し具体的に書くと、BMXではスタートして一斉に第一ジャンプになだれ込みますが、その時点でおおよその「自分とライバルの位置関係」が決まります。
ライバルにはジャンプが得意だけどコーナリングが下手な選手、リズムセクション(小さい凸凹が連続していて、タイミングを合わせることに重点が置かれている場所)が遅い選手など様々です。
そのようなセクションでライバルをパスするために、その2~3歩手前のセクションからラインと位置取りを考え、タイミングを計り、実行に移すのです。

もう一つの特徴はBMXレースにはラインや列車が無いと言うことです。
ご存じの通りロードレースのスプリントでは通称「列車」と言われる隊列を組みます。各チームのスプリンターはいわゆる「グリーン車」に位置取りますので、アシストがお膳立てしてくれます。
ところがBMXは自力ですべて展開する種目なので、状況把握から位置取りまで全て自分でやらなくてはなりません。
もちろん純粋にロードレースだけをやってきた選手でもこのような能力が備わっている選手は沢山いますが、チーム力があって列車を組んでくれるチームのスプリンターほど、この能力が低いように感じます。

つまり混戦状態のスプリントにおいてマキュアンが強いのは、「①ライバルと自分の位置関係を把握しつつ、②ライバルが次にどう動くかを予測し、③瞬間的にベストのタイミングを判断して行動に移す」という能力がBMXレースによって培われてきたからではないかと思うのです。
(もちろんバイクコントロール術に長けている事が基本にあることは間違いありません)

この①②③は体力の話ではなく、神経系の話であることも注目です。
幼少期は筋力よりも神経系が大きく発達することは「スキャモンの発育発達曲線」からも知られています。もしマキュアンがBMXをやっていたのがこの時期だったとしたら、きっと現在の彼の活躍に貢献していると思います。
このあたりはコーディネーション・トレーニングに関連するもので、UCIに研修へ行ったときも何度も話題にされましたが・・・長くなってきたのでまた今度。
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 通勤快速バックときてマキュアンですか。今回まだ見てませんが、マキュアンといえば自分の列車はなくても、するすると特急を乗り継いでゴールする。まるでゴールプリントのダイヤグラムが見えているかのよう。ほんとすごいレースを見せてくれます。見ているほうにも力が入りますね。

ツールに限らず

ゴールスプリントの時はビール片手に叫んでます。

深夜なのに・・・
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プロフィール

Nishii Takumi

Author:Nishii Takumi
●株式会社 地域資源バンクNIU 取締役兼CTO
●中京大学人工知能高等研究所 研究員
●博士(体育学)
●2008北京オリンピックMTB日本代表チーム 監督
●2010ユースオリンピック(シンガポール)・2014ユースオリンピック(南京) 自転車日本代表チーム 総監督

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